Skip to content

品目分類(HS番号)の重要性について

2026年5月19日


品目分類(HS番号)については、色々なところで利用されています。

経済指標の中においては、総輸出入額や主要品目である自動車、原粗油等の輸出入額・数量が反映されており、輸出入動向を見ることができます。これは、HS番号に基づいた統計番号により色々な輸出入物品の額・数量が把握できる仕組みです。

このHS番号の重要性について、経済連携協定(EPA)の原産地規則を取り上げて、見てみます。

まず、我が国は、これまで24か国・地域の間で、21のEPAを締結し、2025年3月時点で20のEPAが発効しています。このような中で、我が国の貿易相手国の約8割がこれらのEPAに参加して貿易取引を行っているという状況です。

これらのEPAを活用してEPA原産地規則に基づいた特恵税率(EPA譲許税率)の適用を受けることにより、このEPAの輸入国において適用される輸入関税の撤廃又は削減の恩恵が受けられることができます。EPAの輸入国というのは、輸入国としての日本のみならず、EPA相手国が輸入する場合にも輸入関税の撤廃又は削減の恩恵が受けられるということであり、したがって日本からの輸出の促進につながることが期待されています。

そのためには、貿易取引される産品が当該EPA原産地規則の条件を満たすことが求められています。この適用を進めるためには確実に行わなければならない作業や手続きが9つのステップとして掲げられます。

まず、第1のステップとして原産地規則の適用において必須となる事項は、輸出入される産品及びその材料の適切なHS番号の確定です。

第2はEPA特恵税率と産品とのHS番号の対比を行い、EPAの対象産品であるかどうかを確認するとともに、1国において複数のEPAが存在する場合にはどのEPAが輸入国にとって適用可能か、有利かを比較・検討することが必要となります(ベトナムの場合、RCEP、CPTPP、日アセアンEPA及び日ベトナムEPAの4つのEPAが利用可能であり、どのEPAが輸入者にとって関税の撤廃又は削減のメリットを受けられるのかを検討する必要があること)。

第3は特恵マージン(一般税率とEPA特恵税率との差)が存在するかどうかを確認し、一般税率の関税額とEPA特恵税率の関税額プラス手続き上のコストとの比較において、どちらが有利かを検証することが必要です。EPA税率の額が有利な場合にはEPAの手続きを進めます。

第4は関税割当制度等の輸入規制対象産品であるかどうかを確認し、対象であれば必要な割当枠を有しているかどうか等を確認する必要があります。

第5は原産地規則の条件を満たしているかどうかを確認し、そのことを裏付ける証明資料を作成することが求められます。特に、日本から部品が輸出され、輸出国で製品に組み込まれて日本に輸入されるという場合にも、EPA税率の適用が可能です。

特に、原産地規則において複雑とされている産品は、機械類、繊維、繊維製品、化学品及び農産物であり、これらのセクターでの知識が必要な場合があります。

第6は輸入国税関に提出する原産地証明書の作成(輸入国において同証明書を作成できるEPAがあります。)又は輸出国の輸出者等から取得することが求められます。

第7は日本又はEPA相手国でのEPA特恵税率に係る原産地証明書を輸入申告時に提出し、EPA特恵税率の適用を要請します。

第8は第6のステップにおいて原産地証明を作成した輸出者、生産者又は輸入者が原産品であることを裏付ける証明資料、原産地証明、インボイス、輸入申告者等EPA特恵税率適用の要求を満たす全ての書類(証明書類)を一定期間保存することが求められます。

第9は輸入国税関の事後の確認(輸入事後調査、輸入相手国税関からの検証)への対応として、第6のステップで作成された原産地証明書が正しいかどうかについて、輸入国税関からの事後の確認(輸入事後調査又はEPAに基づく輸入相手国による検証)が行われる場合があり、証明書類の提出等速やかな対応が要求されます。

なお、原産地規則について、いろいろと述べてきましたが、通常同じ製品や材料の輸出入に関わっておられる通関士さんがおられることから、最初は色々と手続きが煩瑣と思われますが、2度3度と経験を踏まえれば同じ手順ですので、それほど困難なことではないかと思われます。特に、輸出入産品の多い企業や同業の輸出入者さんを抱える組合等において。EPAの最大限の利用を図ることにより大きなメリットを享受することができるので、特に組合では、傘下企業のこのような手続きの共有を図り、傘下企業の指導・相談に当たることにより存在感が高められることと思います。

最後に、ステップの第1で述べたように、まず重要なことは輸出入される産品及びその材料の適切なHS番号の確定であり、上述したように、機械類、繊維・同製品等の輸出入を行っておられる企業等におかれましては当該産品の知識が求められる場合があります。

浜田 栄