コロナウイルス危機での通関士の在宅勤務の先にあるもの
コロナウイルス危機での通関士の在宅勤務の先にあるもの
各企業はコロナウイルス感染防止のため始めた在宅勤務を今後も続行し事務の効率化につなげようとしています。
通関士の在宅勤務を実施している通関業者も在宅勤務を継続するでしょう。準備が間に合わなかった通関業者もこれから通関士の在宅勤務を始めると思われます。
通関士は個人に与えられた国家資格ですが、国家資格の弁護士、税理士、公認会計士などは全て個人営業が認められています。
通関士の個人営業が認められれば在宅勤務がもっと広がり通関業務の効率化が進むと思います。また、都市部に集中している通関業務が輸出者の製造工場や生産地での輸出申告ができるようになれば今回のコロナウイルス感染のような過密な都市リスクが軽減されます。
輸入貨物が都市港湾や空港に滞留することなく輸入者の地元の工場・倉庫に運ばれます。
都市での国の機関・役所、民間企業の本社・事務所の密集を解消する手段になります。
なぜなら多くの企業の生産工場は地方に分散しておりますが、既存の通関業者の独自の力ではカバーしきれないので、東京大阪などの都市部に輸出入貨物を集約して取り扱わねばなりません。地方に分散している工場や生産地で通関士が直接輸出入手続きをすれば人も物も事務所もトラックも倉庫も全て分散しますので、過密によるリスクは軽減されます。
コロナウイルス感染対策(防疫)のための施策は地震や津波など天災(防災)対策でもあります。
今回のコロナウイルス感染防止「過密リスク軽減」の対策に「通関士の独立」を入れるべきだと考えています。通関士や貿易関係者のご支援をお願い致します。
(参考)
通関士に個人営業を認めない理由は何でしょうか
平成27年(2015年)6月に「申告官署の自由化・通関業制度のありかたに関する研究会」とりまとめが発表されました。
この中で「通関士は、税理士、公認会計士といった他の資格と異なり、独立して業務を行うことが可能な資格として位置づけられていない(通関業法第2条第4号及び第31条第1項)ことから本研究会においては『通関士を独立して業務を行うことが可能な資格』として位置づけることについて検討した。」として
Q: なぜ通関士を通関業者に従事しないと使えない資格にしたのか?
A: ①通関業務は多くの業務量を同時に処理しないと経営が成り立たないこと。通常運送業務や倉庫業務と一括して受注するのが通例であることから、通関業者の通関業務に従事する専門家として特定の責任ある事務を行うという公正にした。
とありますが、何を言っているのか全く意味不明ですね。(佐藤)
②近年の通関業務料金の平均収受率は年々低下傾向にある。個々の事務処理において多くの料金を取得することは期待できないこと。
Q: 研究会では、通関士試験合格者の申請に基づく登録制について検討しましたが、その結果はいかがでしたか?
A: 通関士の資格付与を通関業者が通関士を雇用し税関長に届出て確認を受ける義務を負わせている。
通関士試験合格者の届け出による登録制については通関業者に属さないのに通関士という名称を使って通関士という(通関士の独立)ことを可能とすることとの関係を慎重に検討する。としています。
要するになにも検討していないのです。(佐藤)
但しこの「とりまとめ」は財務省関税局の正式な文書として公表されております。
「通関士の独立について」何の検討もされなかった理由は、当研究会に通関士を代表する人が全くいなかったからです。
今後、全国の通関士を代表する団体や個人が力を合わせて声を出してゆけば「通関士独立」の可能性は広がります。
(文責: 佐藤健一)