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通関士の現状と未来の役割とは何か

2023年1月22日


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通関士制度の現状と明るい未来の夢

通関士Registered Customs Specialist)とは、通関業務を適正に行うために設置が義務付けられている者をいう。厳密には、通関士試験に合格し、財務大臣から通関士の確認を受けて勤務している者を指す。

通関士は貿易業界の税理士、行政書士のような役割がある。しかしながら、他人の依頼により貨物の輸出入申告手続を行うことができるのは通関業者であり、通関士は、通関業者が置かなければいけない資格職である。

通関士が税理士や公認会計士のように独立開業するのは限りなく不可能に近い。可能性があるとすれば個人で通関業者となるしかないがこれは非常に困難である。税関HPで公表されているが。これによると全国で1名のみ個人で通関業者となっている。

1966年(昭和41年)関税の申告納税制度 を実施(賦課課税方式、申告納税方式の併用)

翌年1967年(昭和42年)に通関業法施行され第一回通関士試験 が開始された。(wedipekiaから)

これは国民の所得に対する納税申告を税理士が代行するのと同様に輸入申告に関る関税・消費税の

申告を通関士に代行させる制度にすべきところなぜか通関士法でなく通関業法として通関業者が代行して通関士は通関業者に就職して初めて通関士として仕事ができることになりました。

なぜでしょうか?日本の港湾業者を守るため、いわゆる護送船団方式です。そのため通関料金も上限が財務省(当時は大蔵省)により定められていました。

2017年(平成29年)に50年ぶりに輸出入申告税関の自由化と通関業務料金の最高額表が廃止されました。全国どこからでもどこの税関にでも自由に申告できるようになりました。北海道の輸出入者や通関業者が沖縄税関に申告ができるようになり、また、通関業務料金の自由化で各通関業者が自由に料金設定ができるようになりました。しかし、大きな封建的規制が、護送船団方式が残されたままです。通関業者だけが輸出入申告の代行ができるという制度です。米国やオーストラリアでは、通関士個人が輸入通関代行ができ、個人営業ができます。

米国や豪州の通関士は、輸出入者のニーズに応えるために常に最新・最高の通関業務知識の習得に努めています。日本ではどうでしょうか?

通関業者の社員(サラリーマン)として、与えられた仕事、NACCSの操作、お客様の決まった通関書類・作成や書類審査に時間を取られ、お客様、輸出入者のニーズであるEPAの活用や新規業務へのアドバイスができず苦しんでいる通関士様も多いと思います。

通関士様の中には「営業が苦手だから通関士をしている。」とおっしゃる方もいらっしゃいますが現状認識を変えていく必要があると思います。というのはAIの進展で自動通関システムが普及しつつありNACCSの操作、主要顧客の書類審査は自動通関になていく可能性がございます。

パターン化された関係書類の送付とチェックの仕事は自動化されますが、EPAを適用するインボイスの作成、HSコードの決定、外国の税関システムの把握し、お客様にお伝えするなどは。今後の通関士の仕事の中心になっていくと思います。

今現在、国際貿易の中での通関士の役割の大切さと将来性に期待する多くの方々(輸出入メーカー、商社、フォワーダー様から)が通関士資格をお取りになっていらっしゃいます。弊社にもたくさんの方々がご登録されております。

現状、通関業務経験1-2年など即戦力を望まれる通関業者様がありますが、先ほどお話ししたワンパターンのNACCS業務、通関書類作成・審査業務となっています。将来も含め通関業務に固定化される

可能性がございます。

現在、弊社がお勧めしているのは、必要とする商社・メーカー・フォワーダー様に通関士として国際貿易のプロとして就職することです。このニーズはとても多いです。顧客対応から通関書類の作成、輸出入通関の流れと通関業務そして海外相手国税関との仕事など幅広く経験できます。通関士の将来のあるべき姿でもあります。これからは現場のNACCS通関業務のみでは将来が厳しいと思います。

前述しましたえEPA制度は輸出国での原材料調達方法により関税の低減ができますが、中小企業の半数以上は活用できていません。内容がわからないからです。通関士の仕事です。

新たな輸出入貨物に関するHSコードをお教えする、他法令の確認をするなど、通関士として会社の営業活動から通関手続きまでお客様のニーズに対応するトータルな仕事に積極的に参加する新たな通関士像を造ってまいりましょう。

弊社はそのようなアクティブな通関士様を全力でサポートしてまいります。

このような高いレベルの通関士様が増えていけば、通関士への個人営業(通関業者免許)の取得も近いと確信しております。通関士の未来は明るいと確信しています。

(文責)アデプタス 佐藤健一