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コロナウイルス対策のマスク輸入で情報公開を

2020年5月13日


コロナウイルス対策のマスク輸入で財務省関税局は情報公開をしてください

政府は、4月1日に国内の全世帯(住所)にマスクを2枚配布するとこを決定し、全国で5000万枚を配ることとしました。

政府は、伊藤忠商事、興和、マツオカコーポレーションの三者に発注し、予算総額は約466億円です。

ところが配布したマスクに変色や汚れなどの報告があり、国民から不安の声が広がりました。

興和と伊藤忠商事は4月23日、未配布分を全量回収すると発表しました。受注した3社のうち、受注額は興和が約54億円、伊藤忠は約28億円です。不良品のマスクは中国、ベトナム、ミャンマーからの輸入品です。

当然、税関への輸入申告が必要です。税関の事前教示回答によれば

税番(HSコード):6307.90-029 一般的品名; 不織布製マスク
貨物概要:ポリプロピレン製不織布から成るマスク
性 状:フィルター部が3層構造の立体型マスク
材 質:(本 体)ポリプロピレン製不織布 (耳かけ)ポリプロピレン、ポリウレタン製不織布
サイズ:165mm×130mm
用 途:衛生管理用
登録番号:119000179
処理年月月:20190125

税番(HSコード):6307.90-029 一般的品名不織布製マスク
貨物概要:ポリプロピレン製不織布から成るマスク
材質:(本体)ポリプロピレン製不織布 (ノーズワイヤー)ポリエチレン被覆鉄線
サイズ:215mm×80mm
用途:口や鼻を覆い防護する
包装:10枚/小売用紙箱
登録番号:118004765
処理年月日:20181226
関税率:基本5.6% 協定:4.7%
特恵:Free

今回の不衛生な粗悪品が大量に出たマスク輸入の問題点は何でしょうか

マスクには医薬品医療機器等法の規制はなく「雑品」として輸入することができます。「花粉99%カット」などの表現についても、粒子を物理的に除去するという表現であれば雑品の範囲内で認められています。「ウイルス予防効果」などの言葉を使うことはできません。マスクには、日本衛生材料工業連合会による業界自主基準に基づく表示が定められていますが、厚生労働省の法的な規制はありません。

一方、中国では4月1日からマスクなどの医療関連物資の輸出に許可制を導入しました。

中国ではコロナウイルス感染拡大が深刻化した2-4月に新たに5000社がマスクなどの製造業に登録しました。コロナ拡大前はマスクの日産量数千万枚が4月は2億枚といわれています。中国政府によると3-4月の輸出量は36億枚でした。新規参入の半数が製造ノウハウに乏しい中小卸小売業者でした。粗悪品が横行し、ついに輸出規制となりました。

伊藤忠商事や興和は、長い輸入業務の経験もあり、中国などでの製造工程での品質を厳密にチェックするノウハウがあったはずです。伊藤忠は明治以来の日本を代表する伝統ある大商社でありながらの今回の不祥事は情けない限りです。海外の情報収集力が売り物の大商社が中国のマスク製造の状況を知らなかったとは言えません。日本国民への謝罪と事実関係を明らかにし大商社としての責任を全うすべきです。

さて財務省関税局は関税法に基づき適法に輸入許可をしたので何の落ち度もないようです。

マスクは厚生省の医薬品医療機器等法の規制はなく「雑品」として輸入したので他法令の確認義務がないからです。

しかし、関税局は国際貿易のプロですから、中国でマスク製造品質が悪く、4月に輸出規制が始まることは知っていたはずです。ましてやコロナウイルス対策で全国民に配布するマスクです。

マスクの輸入許可前の徹底した貨物検査をしていれば事態は違っていたかもしれません。

今現在、関税局税関は輸出入が拡大している越境ECによる通販貨物への検査率の高さが問題になっております。最近では突然にマニフェスト通関貨物の課税価格の考え方を変更したため輸出入貨物が成田空港や関西空港に滞留しています。

一般の輸出入には厳しく、国や大商社に対しては緩やかにでは国民が納得しません。

財務省関税局が持っている今回のマスク不良品輸入に関する輸出者と輸入者のデータを全て公表して国民へ説明義務があると思います。

(文責: 佐藤健一)


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