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第52回通関士試験について

2018年7月20日


第52回通関士試験は平成30年10月14日(日)に実施されます。

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最近の国際貿易はグローバル化が飛躍的に進行し、輸出入通関業務の重要性が高まると共に、通関士の重要性が益々高まっています。

通関士各位におかれましては、若手、後輩通関士を多く輩出することにより、自分自身の知識と資質向上を図るとともに、職場で多くの通関士を生み出すことも重要な役割です。是非、自分の職場から多くの通関士試験合格者を出すために、受験者を増やし、受験者の合格に向けたサポートしてくださるようお願いいたします。当サイトでは、通関士試験への質問、意見を募集いたします。宜しくお願い致します。

第52回通関士試験が10月14日に実施されますが、第1回から51回までの通関士試験合格者は、46464名です。しかし、現在、実際に通関士として仕事している合格者は1万人以下です。3万人以上の合格者が通関士として働いていないのはなぜでしょうか?原因として考えられる第一は、通関士試験は個人が受験し、個人が合格しているにも関わらず通関士として働くためには通関業者の社員として採用されねばならないからです。

輸出入書類のほとんどが通関士の審査が必要であるにも関わらず、長い間、財務省関税局の「内規」で個人が通関士として活動することができないのです。財務省は、通関士試験を国家資格として認定し、通関士に輸出入通関の最も大切な仕事をさせている以上、通関業者の社員でなければ仕事ができないのでは、理不尽です。平成27年6月19日に財務省関税局は「申告官署の自由化・通関業制度のあり方に関する研究会 とりまとめ」を発表しました。


通関士について「とりまとめ」では以下のように報告されています。

(14)通関士の位置付けについて

通関士は、税理士、公認会計士といった他の資格と異なり、独立して業務を行うことが可能な資格として位置付けられていないことから、本研究会においては、通関士を独立 して業務を行うことが可能な資格として位置付けることについて検討した。通関士を通関業者の通関業務に従事する者としている趣旨は、通関業法の制定時におい て、通関業務の性質上、相当数の業務を同時に処理するのでなければ経営が成り立ち難いこと、運送業務や倉庫業務等と一括して依頼を受けることが通例であること等から、通関 業者の通関業務に従事する専門家として特定の責任ある事務を行うという構成をとったことによるものである。通関業の現状を見ても、近年における通関業務料金の平均収受率は年々低下傾向にあり、個々の事務処理において多くの料金を取得することは期待できないことや、通関業務のほ かに貨物の運搬や保管等も一括して依頼されるケースが一般的であることから、通関士を独立して業務を行うことが可能な資格として位置付けることについては、引き続き検討す べき中長期的な課題とすることが適当と考えられる。

(15)通関士の資格付与について

通関士は、税理士、公認会計士といった他の資格と異なり、通関士試験合格者が自らの意思で通関士となることはできず、通関業者の通関業務に従事している必要があること から、本研究会においては、通関士試験合格者の申請に基づく登録制について検討した。通関士の資格付与を通関業者による通関士の届出・税関長の確認にかからしめている趣旨は、通関士が行う通関書類の審査という機能がその属する通関業者に帰属することを踏まえ、通関業者に通関士を雇用する義務を課すととともに、その者が欠格事由に該当しな い旨を税関長に届けさせ、税関長の確認を受けさせることとしているものである。通関士 試験合格者の申請に基づく登録制は、通関業者の従業者として通関業務に従事しない場合 であっても通関士という名称を使用して通関業務を行うこと(通関士の独立)を可能とすることとの関係を慎重に検討する必要があると考えられることから、引き続き検討すべき中 長期的な課題とすることが適当と考えられる。

Ⅳ まとめ

本研究会は、財務省関税局における申告官署の自由化及び通関業制度の今後の検討に資するため、本年 4月から 5回にわたり開催し、申告官署の自由化の基本的枠組み及び通関士を含めた通関業制度全般に係る種々の論点について検討し、考え方を整理した。本研究会において整理した論点については、今後、関係者間で引き続き情報の共有を図りつ つ、本研究会での議論を踏まえ、財務省関税局における検討が進められることを期待する。なお、平成 29 年度までの検討に当たっては、財務省関税局から、検討の状況を幅広く関係者に対して周知するとともに、適切に情報提供を行うこと等を通じて、引き続き新たな制度の 理解促進に向けた取組みを丁寧に行うことが重要である。

(以上)


「とりまとめ」は、

  1. 通関士は独立して業務が可能な資格かを検討した。 結論は、通関料金が安いので、通関士は独立しても経営が成り立たない。 通常は、配送や保管も一貫して依頼されるケースが一般的であることから 引き続き検討すべき中長期的な課題とした。
  2. 試験合格者の通関士登録制について検討した。 通関業者の従業者として通関業務に従事しない場合でも、通関士という名称を使い通関業務を行うこと(通関上の独立)を可能とすることとの関係を慎重に検討しなければならなから、引き続き検討すべき中長期的課題としている。

1については、通関料金の低下は、単なる値下げというよりは、NACCSなどのシステム化により、一件当たりの通関処理時間が大幅に減ったことによる。逆に通関士一人当たりの処理件数は大幅に向上している。弁護士や税理士を見れば、一人一人より何人かで集まり弁護時事務所、税理士事務所などで集団で仕事をしている。

独立では経営が成り立たないとの説明になってない。通関士の登録制については、更に奇妙な論理だ。通関業者に属してないと通関士登録ができないとの規定は、財務省が作ったものだ。通関士個人に通関士登録を認めて、個人営業を認めれば済む話だ。1の通関士が独立しても「経営が成り立たない」との論理があやしい以上、2の通関業者に属してないと通関士登録ができないとの論理は成り立たないであろう。

現実的に、個々の通関士も専門別に分かれているので、複数でないと通関士事務所の維持は難しいだろう。通関業者ありきの論理でなく、日本の通関制度をより高度なコンプライアンス、セキュリティのある仕事にするために、国家資格を持つ通関士の能力をいかに引き出し、活躍させるかを考えれば、自ずと結論は出るでしょう。

TPPやFTAの大きな流れや各国間の経済摩擦が激化する中で、3万人もいる通関士試験合格者を今活用しなくてどうするか。「長期的な課題」と言って、物事の結論を先送りする財務官僚の悪弊を早く直し、通関士の独立営業を認めることこそ最善の道と信ずるものです。

(注 )

全体版 「申告官署の自由化・通関業制度のあり方に関する研究会 とりまとめ

通関業者に勤務する通関士有資格者は約 10,600 名であるが、そのうちの約 3,600 名が通関士としてではなく通関業 務従事者等として勤務している(平成 25 年度通関業営業報告書ベース)。 32 平成 21 年度から平成 26 年度までにおける通関士試験の合格率は、7.8%~13.2%で推移している。